アンコウ

「ねえ、ファックしようよ」
店中の男の視線が泳ぐ。
「何ですか、あれ」
「見るな見るな」
「あ」縒れたスーツの男が動いた。
「三下の営業か、持て余しやがって…」
二言三言、死んだ目の即席カップルは連れ立って店を出る。
「今日はツイてるわぁ また遊ばせてね」ひらひらと踊る指先。
 
小一時間もせず、胡乱な女は再び店に現れた。
「今日は早いじゃねえか」
「あいつ冴えない顔していいモノ持ってンのよ。つい夢中で頬張っちゃって」
「へいへい」
「あら!こちら見ない顔ね、味見させてよ」
「駄目。俺の貴重な丁稚」
 
「え、駄目って何ですか…」違和感と劣情が口を滑らせた。
「お前っ!馬鹿野郎」拳を貰ってしまった。
「ッてえ!何ですか!」
女が吹き出す。
「よッぽど大事なお弟子さんなのねえ。いいわ、大事なとこ見せたげる」
コートの前をはだける。
 
肉付きの良い腹のくびれに、大小様々な、…陰茎…?
「こいつな、アンコウ女ってんだ。お前ほんとに食われるぞ。」
右脇から中々の逸物(俺のにゃ劣るがね)をもぎって突き出してくる。如何臭いソレは少し充血してみえるが…
「なかなか素敵でしょ?お口でされるの好きみたい、さっきは凄かったのよ、ほら」
「店でサカるのはやめろ。酒が不味くなる」
「ですって!残念ねぇトニー!」先端に囁き、口づけをする女。
先端…人の頭だ…見覚えが…これはさっきの…男……